高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)
主に大脳の知的活動をつかさどる部分の損傷によって起こされる、様々な症状(神経心理学的症状)の総称
記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害等で脳の損傷部位によって特徴が出る。
その障害は外からでも分かりにくく自覚症状も薄いため隠れた障害と言われている。
よく、ひと言で「高次脳」と略されるため、脳内にそのような部位があるのか、と勘違いされることがあるが、そうではなく、わかりやすく言うなら「高次の脳機能の障害」である。
- 記憶力が低下した
- 怒りっぽくなった
- 複数の動作を同時にすることができない、物事を順序だてて取り組むことが困難
- 幼稚な言動、行動がみられる
- 感情が鈍麻している
- 本人は自分が変わったこと、できなくなったことなどに気づかない
上記の症状の一部でも該当する場合は高次脳機能障害の可能性がある。
障害別の具体的な症状
- 記憶障害:新しいことを覚えられなくなったり、以前のことを思い出せなくなったりする。
- ついさっき自分がしたことを忘れてしまう
- 昔のことを思い出せない
- 日付や自分のいる場所がわからない
- 約束をすぐ忘れてしまう
- 何度も同じ質問を繰り返す
- 注意障害:物事に集中出来なかったり、周りのことが気になったり、気が散りやすくなる。
- いつもぼんやりとしている
- ひとつのことを長く続けることができない
- 仕事をするときにミスが多い
- 2つのことを同時にやろうとすると混乱する
- 遂行機能障害:目標を決めて、計画を立てて実行し、その結果に基づいて行動することが困難。
- 優先順位を決められない
- 見通しを立てて行動することができない
- 行き当たりばったりの行動を取る
- ひとつひとつ指示されないと行動に移せない
- 社会的行動障害:依存的になり、感情や行動を自分で調整することが難しくなる。
- 感情のコントロールがうまくいかない
- 人の気持ちを上手く察することができない
- 欲求が抑えられない
- ちょっとしたことにひどくこだわる
- 意欲が低下したり、物事に無関心になる
その他にも、
- 失認
- 失行
- 半側空間無視
- 病識欠落
などの症状もある。
生活上の注意
高次脳機能障害の方の動作は周りの方から見ていて歯がゆいように感じます。そして本人はその周りの歯がゆさを感じることにより、あせったり、いらついたり、落ち込んだりしてストレスをためてしまいます。その結果、動作自体を行わなくなることが少なくありません。しゃべると間違えるため、言葉自体を発しないようになってしまったり、何かをしようとするとすぐに周りから注意されるため何もしなくなったりします。しかし、そうなるともともとの障害に加えて、使わないことによる障害(廃用)の要素が加わり障害はより重度になってしまいます。そのため、本人も周りの方々も障害を正しく理解し、何ができて何ができないのかを知った上で本人と接し必要に応じて手助けを行うことが重要です。
高次脳機能障害のリハビリテーション
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