もやもや病とは
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)とは
脳に血液(栄養)を送る太い動脈が詰まって、不足した血液を補うように周りから細い血管が発達する原因不明の脳血管疾患です。
この発達した細い血管が血管撮影検査などで、タバコの煙のように「もやもや」と立ちのぼるように見えることから、「もやもや病」と名付けられました。
日本人に多い病気です。
- 岐阜大学脳神経外科 臨床教授の吉村紳一先生によるもやもや病についての説明ムービーです。
- もやもや病 北里大学医学部脳神経外科 | ウィリス動脈輪閉塞症(もやもや病)図での説明
- 欧米人には少なく、アジア系人種(なかでも日本人)に多い病気です。最多は日本、ついで韓国。
- 年間発症率は0.35〜0.5/10万人と推定。
- 日本では年間約400-500人程度の新患の登録があり、常に約4000人の患者がいる。
- 男女比は1:1.7。女性の患者の方が多いです。
- 5歳と30〜40歳に多く見られる。
- 成人例、家族歴を有する例、無症候例が増加している。
もう少し詳しく
脳の血液は、左右の内頸動脈と左右の椎骨動脈の合計4本の血管は脳底部で互いに繋がり、ウィリス動脈輪と呼ばれる連絡路を経由して供給されています。
この動脈輪を中心とした脳血管に進行性の狭窄・閉塞病変が起きるため、不足する血流を補う側副血行路として脳底部から脳に直接穿通する数多くに細いもやもやとした異常血管網が発達します。
病名について
2003年に正式な疾患呼称が「ウィリス動脈輪閉塞症(ウィリスどうみゃくりんへいそくしょう)」から「もやもや病」となり、現在は国際的にもMoya Moya Diseaseとして広く使用されています。日本語の病名で形容詞が付けられた珍しい病気です。
脳底部異常血管網症とも呼ばれるようです。
原因
発見から数十年が経っているにも関わらず、太い血管がなぜつまるか、その原因はまだわかっていません。
一方で、家族性発症も10〜15%あることが知られており、遺伝が関与することが示唆されている。実際3番、6番、17番の染色体に高い連鎖のあることが知られているが、原因遺伝子の解明までには至っていない。
(情報更新)
京都大学「もやもや病感受性遺伝子の特定とその機能についての発見」によると、原因となる感受性遺伝子はRNF213遺伝子のp.R4810Kであることがわかったが、この遺伝子を持っている人が全て発症するわけでなく、環境要因の関与も疑われている。
そこで、家族歴の有無を問わず、東アジアの患者と非患者を幅広く比較し調べたところ、日本人の患者では、161名中145名(90%)、韓国人の患者では、38名中30名(79%)、中国人の患者では、52名中12名(23%)がp.R4810Kを持っていました。また、この多型を持っていると日本人では約340倍、韓国人では約136倍、中国人では約15倍、もやもや病にかかりやすく、患者全体の251名では、非患者751名に比べ、約112倍かかりやすいことが分かりました。しかしこの一方で、非患者でもこの遺伝子を有する人が、日中韓でも2〜3%程度いることも分かりました。
(※感受性遺伝子:疾患への感受性を高める遺伝子のことをこのようにいいます。遺伝子異常だけで起こる原因遺伝子とは区別されます。)
感受性遺伝子については「マンガライフサイエンス 疾患感受性遺伝子のイメージ」(PDFです)がわかりやすいです。
患者数
2003年の調査では日本の患者数が7700名。
10年間で2倍近く増加したそうです。
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2012/02/03 | もやもや病とは
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