*

もやもや病の遺伝子の話

先日、遺伝の話を書いたついでに。
少し古いニュースですが、もやもや病に関与する遺伝子を特定したというニュースがありましたね。
わたしは、この発表の時はもやもや病であることに気がついていなかったので、全く知りませんでした。
もやもや病感受性遺伝子の特定とその機能についての発見
この発表の日付は2011年7月21日ですね。
ちょっと素人には難しい内容なんですが、要約・抜粋すると、

—–
原因となる感受性遺伝子はRNF213遺伝子のp.R4810Kであることがわかったが、この遺伝子を持っている人が全て発症するわけでなく、環境要因の関与も疑われている。
日本人の患者では、161名中145名(90%)
韓国人の患者では、38名中30名(79%)
中国人の患者では、52名中12名(23%)
がp.R4810Kを持っていました。
この多型を持っていると日本人では約340倍、韓国人では約136倍、中国人では約15倍、もやもや病にかかりやすく、患者全体の251名では、非患者751名に比べ、約112倍かかりやすいことが分かりました。
しかしこの一方で、非患者でもこの遺伝子を有する人が、日中韓でも2~3%程度いることも分かりました。
この遺伝子を持っている方が全て発症するわけでないことも分かりました。
—–

気になったのは、感受性遺伝子という部分で、備考を読むと、

感受性遺伝子:疾患への感受性を高める遺伝子のことをこのようにいいます。遺伝子異常だけで起こる原因遺伝子とは区別されます

えっとつまり、この特定された遺伝子だけがもやもや病の原因ではないということ、ですかね。
「この遺伝子を持っている方が全て発症するわけでないことも分かりました」とあるので、p.R4810と「何か」がもやもや病を引き起こす、ってこと、、なのかな。

これ以前にも2010年に、東北大学からもやもや病に関連する遺伝子発見の発表があったのですが、これはどうなったのでしょうね。
モヤモヤ病の発症に関わる遺伝子を発見
当時の読売新聞では「脳の難病「モヤモヤ病」原因遺伝子突き止めた」と報道していたようですが。。。うーむ。

正直よくわからないんですけど、Wikipediaを読んでみると、

(特定までの流れ)
2008年 15家系を用いた研究で、17番染色体の長腕の終末部領域に100個以上の遺伝子が存在することを見出し報告された。
2010年 17番染色体の長腕の終末部領域の遺伝子「Raptor」を道しるべとして原因遺伝子が検索できることが報告された。
2011年 17番染色体の候補領域にあるRNF213という遺伝子の4810番目のアルギニンがリジンに代わる多型(p.R4810K)が機能異常に結びつく多型と結論づけられた。

少しずつ、研究が進んでいる、ってことですね。
今後、もやもや病の予防と治療がどんどん進むことを期待しています。

もし、わたしの遺伝子を提供できるなら、協力してみたりとかできるのかしら?

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Comment

  1. [...] 先日のもやもや病の遺伝子のお話につづき、近年研究に拍車がかかっているんでしょうかね? [...]

  2. 通りすがり より:

     東北大学が特定したRNF213というのは人間誰もが持っている遺伝子です。京都大学はそのRNF213に「多型」があることを特定したということです。多型とは「通常とは異なるRNF213が色々な人に存在するようだ」と確証が取れたときに認定する遺伝子の派生名のようなものだと考えたらいいと思います。それがp.R4810Kという名称なんだと思います。んで、「RNF213の多型であるp.R4810K」では長いので通称としてmysterinと名付けたようです。つまり、見つけた遺伝子は同じものですが、より厳密に特定しました。ということかと思います。

     感受性遺伝子というのは、「疾病などの原因遺伝子探索の過程でまさしくこれだと発見された”目当て”の遺伝子」と言い換えていいと思います。そしてその名の通り、すぐに疾患に結びつくわけではなく様々な要因が関係して病状を引き起こす遺伝子です。でたふうふさんのおっしゃるように、今後この遺伝子の様子に着目しながら環境の変化や症状の程度を見極めることで、より具体的な環境因子が特定できる可能性が高まったと言っていいと思います。

     逆に遺伝子異常というのは、「原因を環境に求められない場合」に使う言葉と思うので、今回引き合いに出されただけだと思います。

     感受性遺伝子については「マンガライフサイエンス」http://www.torii.co.jp/health/lifescience/pdf/40_6.pdf#search

     でなんとなくイメージが掴みやすいと思います。nyarockさん始め、当事者の方々の詳細な情報が今後の研究などには欠かせないものになると思うので、こういった交流が盛んな場所があるだけで素晴らしいと私は思います。失礼しました。

    • nyarock より:

      コメントありがとうございます!
      マンガライフサイエンス、わかりやすいですね!!
      非常に勉強になりました。

      私のこのブログはまだ始めたばかりでそれほどアクセスもありませんので、あまりお役に立てているのか微妙ですが、自分ためにもがんばります。

      今後ともよろしくお願いいたします。

  3. でたふうふ より:

    こんばんは。
    もやもや病ってやっぱり遺伝子が関係してる…となると、私の遺伝子も調べてもらいたい!!ものすごく気になります。
    ところで…もやもや病って人によって症状の差が激しいですね。(他の病気もそうなのかもしれないけども…。)そのあたりも遺伝子や、環境要因のちがいが関係するのでしょうか…???
    とにかく、早く治療法が見つかることに期待します。

    • nyarock より:

      コメントありがとうございます(^^)
      そうですね、症状とか予後って人によって様々ですよね。
      ほんと不思議で、難しくて、怖い病気です、もやもや病。
      治療法も予防方法も今後の研究に期待してます。

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