解明された?!半身麻痺回復の仕組み
少し前のニュースになりますが、片麻痺に関するブログを書いたのでそのついでに。
損傷していない側の神経が、新しい回路を作って損傷している側の機能を肩代わりして、麻痺の一部が回復する仕組みを大阪大学の研究チームが、マウスを使って解明した、というニュース。
片側の脳が機能を代償するというのは聞いたことがありましたが、その仕組や神経栄養因子(?)もわかってきた、というのが今回のポイントなんでしょうかね。
脳梗塞などで片麻痺の後遺症がある患者さんの励みになるといいのですが。
脳の障害による麻痺が自発的に回復するメカニズムを解明
(脳神経疾患後遺症に対する治療法の開発に光)
全文、図解説明などは大阪大学のホームページで原文をご確認ください。
<研究の背景と経緯>
脳血管障害や脳挫傷により脳が障害を受けると、神経回路が破壊され、認知・運動・感覚といった神経機能に重い障害がもたらされます。こうした障害に対して、有効な治療法はいまだ確立されていないのが現状です。脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経は、一度破壊されると再生できないと長く信じられてきたために、中枢神経損傷後の自然経過での機能回復については注目されず、科学的に解明されてきませんでした。しかし実際には、リハビリテーションなどによる訓練を行うことで、失われた機能がある程度回復する場合があります。この現象を説明する仮説として「障害を免れた神経回路が、失われた機能を代償するのではないか」と考えられてきましたが、神経回路がどのように変化して機能を代償するのか、さらにそのメカニズムは何かということに関しては不明でした。脳にもとから備わっている自発的な回復のメカニズムが解明されれば、脳障害による後遺症に対する治療法の開発に大きく貢献することが期待できます。
<今後の展開>
今回の発見をもとに、より高等な神経回路を持つサル・ヒトにおいて、脳血管障害や脳外傷などによる神経症状を回復させるメカニズムを明らかにしていくことが期待されます(図6)。特に、霊長類では一部の皮質脊髄路は交差せず、そのまま同側を下っていくことが知られており、これが脳障害後の機能回復に効果的に寄与する可能性があります。研究の進展によって、脳が自力で回復していく仕組みを知ることができるのです。さらに、代償性の神経回路形成を促進する治療法の開発、リハビリテーションの科学的な基盤の構築に寄与することが期待されます。
このニュースに関していくつか記事を読みましたが、研究の内容など、共同通信の配信しているものが多少わかりやすかったと思います。
脳血管障害や脳挫傷などで左右の脳の片側が損傷して起きる半身のまひで、損傷しなかった側の神経が新しい回路を作って損傷側の機能を肩代わりし、まひの一部が自然に回復する仕組みを大阪大のチームがマウスで突き止め2日、発表した。
山下俊英(やました・としひで)大阪大教授は「サルや人間でも同様の仕組みが働いているとみられ、運動障害の新たな治療法や効率的なリハビリ法の開発につながるかもしれない」としている。英科学誌ブレイン電子版に掲載された。
左右の脳から伸びた神経は脳の延髄で交差し、右側の脳が左半身を、左側の脳が右半身をつかさどっている。そのため脳の片側が損傷を受けると反対側の手足にまひが起こる。
チームはマウスの大脳の片側に損傷を与え、反対側の足にまひを起こさせたが、約4週間後、本来の半分程度まで運動機能を取り戻した。
調べると、首の頸髄(けいずい)で、損傷しなかった側の神経が、損傷した側に多くの神経を伸ばし、前足の筋肉を動かすのに必要な新しい神経回路を作っていた。
頸髄の神経では「BDNF」と「TrkB」というタンパク質の働きが活発だった。BDNFをより多く作らせると神経回路もたくさん作られ、BDNFが働かないようにすると回復の程度が低くなった。
また、このニュースに関して、偶然見つけた記事ですが、
頚髄のどのレベルでも可能なのか、頚髄がどのような状態になっていれば、以上のようなタンパク質の働きが活発になるのかは臨床的に深めていく必要がありますが、セラピストにとっては興味深い内容でした。
http://ameblo.jp/konitaa/entry-11215013823.html
とのことで、まだまだ研究していくことが多いようですね。でも期待しています!!
さて・・・・、
BDNFとTrkBというタンパク質が重要、ということはわかりましたが・・・・それって何??
「神経細胞の生存や成長を促す機能を持つ脳由来の神経栄養因子の1つ。TrkB受容体に結合して機能を発揮する。」
BDNFは、Brain-derived neurotrophic factorの略で、日本語では、脳由来神経栄養因子(のうゆらいしんけいえいよういんし)だそうです。
いや、、全然わからない。。。
どうすれば、その、BDNFが増えるの?
それが簡単にわかれば、苦労しないんですが、研究は進められているようです。
国立循環器センター研究所:脳神経・脳外科疾患の病態解明と新たな治療法の開発(神経・脳外科研究室)
5-1)高電位刺激を用いた脳由来神経栄養因子増加方法による脳機能向上と神経再生手段の開発
適度な運動(身体活動:エクササイズ)と、持続的な、30%程度のカロリー摂食制限(ダイエット)は、脳の栄養となる脳由来神経栄養因子(BDNF)を増加させると言われています。脳内分泌性タンパク質であるBDNFは、脳は虚血に対する抵抗性を強め(虚血耐性の出現)、神経幹細胞が活性化させることで神経新生を促進し、シナプス形成を促すことで記憶力を増強し、また、食欲中枢を抑制し、うつ症状を緩和させ、また、糖代謝・脂質代謝を改善する、等の様々な好ましい効果が期待されます。
すなわち、継続的な食事・運動療法は、脳内BDNFを増加させ、脳保護機能の増強、糖・脂質代謝の改善、認知症・アルツハイマー病・メタボリックシンドローム・うつ病等の予防や改善に寄与する可能性があります。しかしながら、BDNFを増加させるためにカロリー制限のみを持続することは、総活動量を減じ、社会生活を逆に制限してしまう可能性があります。
「虚血に対する抵抗性を強め」っていうのが超期待しちゃいますね!!
適度な運動と持続的なカロリー制限。なるほど。出来る範囲で頑張ります。
ただ、末尾に書いてあるように、カロリー制限のみを持続させると悪影響もあるとのこと。気をつけましょうね。
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2012/04/17 | つれづれ もやもや病関連ニュース
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はじめまして 現在福岡県で理学療法士をやっております
自分は、とにかく妥協なき機能回復を目指しています。
ですので、現在治らないと言われている片麻痺、慢性痛などの、現在の医療が逃げている後遺症をあえて、専門的に研究しています
アメーバブログ『妥協なき機能回復』で検索してもらえれば、僕の全てを書いているブログにたどりつくので、まず、ブログを見てください
必ず何か力になれると思います
まだまだ諦めるのは早いです
僕のブログを見てからでも遅くありません
共に戦いましょう
コメントありがとうございます!
理学療法士の方がこのブログを読んでくれたなんて、ありがたいです。
リハビリはPTやSTの方々との相性も大切ですよね。お互い人間ですし。
ブログもゆっくり見させて頂きます。
これからもよろしくお願いします〜。